1週間前のいきなりの夏日、ソフィア・コッポラ最新作『プリシラ』を観るためシネ・リーブル神戸へ出かけた。
ガーリー・ムーヴィーを撮らせたら、ソフィア・コッポラの右に出る者はいない。そこに華やかでスタイリッシュな孤独を絡めたら、太刀打ちできる者などいないのだ。
14歳の少女プリシラは、スーパースターのエルヴィス・プレスリーに出会い、恋に落ちる。やがて彼女は両親の反対を押し切り、大邸宅でエルヴィスと暮らし始める。彼の色に染まり、彼と一緒にいることが彼女のすべてだったが…
いくら大人びていたとしても、14歳は恋に恋するお年頃。たとえ勢いで飛び越えたとしても、エルヴィスとの関係は大変だっただろう。
やがて年を重ね、母にもなり、現実生活の中でスターである彼の脆さや、男としての横暴な抑圧に直面すれば、初恋の相手に対して別の見方が生まれるのは自然の成り行きだ。
背伸びをして彼の好みに合わせたファッションやメイクに身を包んでいた彼女が、ナチュラルな生き方へと変化していく。
それまでエルヴィスのパートナーでしかなかったプリシラが、大邸宅の門を出て行く決断をするのは、あの当時、とても勇気が必要だったに違いない。
ただ、元々彼女には芯の強さが備わっていたのである。
アーティストであるエルヴィスよりも、どうしても私生活でのネガティブ表現が避けられない本作だけど、根底に愛情があったからこそプリシラも彼との生活を続けて来られたのだと思う。
監督:ソフィア・コッポラ
出演:ケイリー・スピーニー、ジェイコブ・エロルディ、ダグマーラ・ドミンスク、アリ・コーエン、ティム・ポスト、オリヴィア・パレット…
2023年/アメリカ・イタリア/113分
エルヴィス役のジェイコブ・エロルディは、『エルヴィス』でエルヴィスを演じた俳優よりも自然に見ることができた(^^;)
Bon Voyage★