forest gardenの覚書

in the forest garden:映画/芳香/文体/猫/天使・・・魔法香水、作ります。

『悪は存在しない』日本語字幕付きバリアフリー上映

うかうかしていたら、前回のアップから1カ月以上が経過してしまった。

今日は『ありふれた教室』と『関心領域』をハシゴ鑑賞する予定なので(と書いてるうちに観終わってしまった^^;)、その前に、最近観た濱口竜介『悪は存在しない』(日本語字幕付きバリアフリー上映された)について簡単に書き留めておこうと思う。

楽家石橋英子からのオファーで濱口竜介が制作したライブパフォーマンス用映像『GIFT』と共に誕生した長編映画が、『悪は存在しない』である。

昨年秋の東京FILMEXで『GIFT』を先に観て、うっすらと部分的な世界観の記憶はあったのだけど、とりあえず久しぶりの元町映画館へ繰り出した。

aku.incline.life

 

長野県、水挽町。自然が豊かなその町で暮らす巧と娘の花。水を汲み、薪を割り、町民の便利屋をしながら慎ましい生活を送っている。しかし、そんなある日、彼らの居住地の近くにグランピング場を作る計画が持ち上がり…

日本語字幕付きバリアフリー上映ということで、いちいち流れている音楽や音声についての説明や台詞の字幕が入り、最初のうちは気になっていたが、だんだん慣れてくる。今や世界が濱口竜介を評価しようとする流れなのだから、多くの人たちが鑑賞できるように配慮する試みなどバランスよく取り入れる姿勢に、彼の余裕が感じられる。

(↑勝手にこちらが思っていること。「バランスよく」という表現は本編中にも何度となく現れる)

 

途中、得意の会話劇にクスッと笑わされたりしながら(グランピング計画のために何度も訪れるようになる男女の会話など)、だんだんグランピング側の高橋という男と巧の関係性にシフトしていく。

そして、巧も学童館のスタッフも花の存在を軽く扱い過ぎることに疑問を感じていたら、終盤の事件に雪崩れ込む。最初のとっかかりに見えた環境問題はどこへやら、不意に寓話的な終わり方をするのだった。

昨年末に『GIFT』を鑑賞した時の断片的な印象が具体的になった部分も多いのだけれど、同時にモヤモヤしたままの部分も残っている。

何本も撮って来れば、今回のようなLIVE用映像/長編映画バリアフリー上映ver.といった多様な展開を持つ作品があってもいいし、何よりそういうすべてが評価される運気の中に濱口竜介はいるのだと思う。

 

今日観た2本についても、なるべく早く書けたらと思う。

 

Bon  Voyage★