映画や展覧会や本などについて、どうしても2009年から書いてるアメブロの方にいつもの習慣で書いてしまうので、同じ内容をこちらに転写するのはけっこうしんどかったりして、こうして間が空いてしまう。
(そんな私にとって、余韻が残っている映画は『TAR/ター』だったりする)
では、なぜ「はてなブログ」を始めたのかというと、ある組織の商品をPRするミッションがあったから(サボりまくってしまったが…)。
その必要がなくなってしばらく放置していたのだけど、自分が作った魔法香水のためのブログにしようかと思い直して再開したものの、魔法香水をどんな風に展開するのか…もっと練る必要を感じて、うつらうつらと何かを書きながら準備していこうと思っている今。
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そんな私が遅ればせながら読んでいるのが、2003年4月26日、26歳の誕生日を目前に飛び降り自殺で亡くなってしまった二階堂奥歯の『八本脚の蝶』だったりする。
最初はウェブサイトで読み始め、その日記がまとめられた本も入手した。
2016年に本屋大賞の発掘部門で取り上げられたことも知らなかった。どうしても情報は偏ってしまう。
亡くなる少し前から、どんどん死に引き寄せられていくのが伝わってくる。
この強烈な希死念慮はどこから湧いてくるのだろう。
引用される夥しい書物にまつわる幻想譚や、ところどころに見られるファッションの記述で占められた文面からだけでは、その理由を解読することは難しい。
生きていくブルーと、実際に死ぬことの間には大きな壁があって、乗り越えるには特別な瞬間でないと不可能だ。
本人もそのことを繰り返し書いている。怖がってもいる。それでも、死にたいと思う。そして決行した。
物心ついた時から本の虫だったという二階堂奥歯。
大学を卒業してからは国書刊行会や毎日新聞出版局で編集者として活動していた。本を通じて親しく交流していた友人も、大学の哲学研究会で知り合った恋人もいた。
でも、死の誘惑には抗えなかった。
ミュージシャンのYOSHIKIが、自身の父親が自殺したことについて「愛する人がいるのになぜ?」と語っていたが、私もついそういう風に思ってしまう。
当人にしかわからないことがあるのだろうけど(何か医学的に説明できる原因もあるのかもしれないが)、やはり人は1人なのだという思いを深めるのだった。