forest gardenの覚書

in the forest garden:映画/芳香/文体/猫/天使・・・魔法香水、作ります。

調香の修業をしていた頃

今日はひな祭り。

一応、桃の花を飾り、即席ちらし寿司と菜の花と蛤の潮汁を作り、ひなあられや甘酒を楽しみます。

昔はこういう行事なんかどうでも良かったけれど、年々ささやかな自分規模でやるようになりました。

その、若かりし昔に短い間だけ住んだマンションの近所に、いつも何がしかの行事を楽しんでいる小さな一軒家があり、印象に残っていました。

先日ものすごく久しぶりにその界隈に行ったら、その家はまだあって、家庭行事を営む温かな雰囲気がそのまま残っていて、感慨に浸ってしまいました。

 

        * * * *

さて…

先日、仕事場の引き出しの整理をしていたら、調香の修業をしていた頃の、香料が染み込んだノートが出て来ました。

こういったノートは他にも何冊かあるのだけれど、自宅に持ち帰っていて、これだけなぜか仕事場の引き出しに入れていたらしく、おかげで見つかったわけです(自宅の分は、引っ越した際にどこに収納したのかわからなくなってしまった^^;)

 

私が調香を学ぶようになったきっかけは、まだ日本でアロマと言う言葉も使われていない頃、ストレスで湿疹が治らなくなっていた時に出会ったラベンダー精油によるアロマセラピーでした。珍しい精油や本をどんどん集める日々。

そこから香り全般に心魅かれるようになり、香水の調香やアロマブレンドをやりたいと思うようになったのです。

最初は小さなアロマセラピー教室からスタートし、いくつかの教室を渡り歩き、やがては調香のスクールに通うように。

最初に小さな集まりに参加した時、自由に好きな香水を創る会だったのですが、ある人が「坂本龍一の香りを創ります」と言いながら取り組んでいるのを見て、何て自由なんだろう!と一気にどんどん引き込まれていきました。

 

香料の匂いが染みついたノートには、びっしり調香の処方が書き込んであります。

最初は香料を嗅ぎ、その香調を描写することから始まり、同時に香料のプロフィールについても学びます。

そして、少しずつ組み合わせていくのですが、やがて、いくつかのジャンルを創香したり、有名香水と呼ばれる名香を模倣する練習を重ねていくようになります。

時には1日中、朝から晩まで取り組んでいると、鼻が麻痺して、頭はボ~ッとしてきます。なので、途中で何度かおやつや軽食で休憩をします。味覚は嗅覚とつながっているので、そんなブレイクタイムも楽しいひとときです。

 

そういった色々な思い出が、ノートの雑多な匂いからふわりと立ち上がって来ます。

これもある種のプルースト効果というやつかもしれません(『失われた時を求めて』でマドレーヌを紅茶に浸すとかつての思い出が蘇るという…)。